Love Summerー幼なじみを卒業ー
ー永SIDEー



賑やかな居酒屋で、不釣り合いな程に静かな俺たち。

おじさんとおばさんの3人でビールジョッキを合わせても、身体に染みて来ない。

炭酸飲料でも飲んでる気分だ。



「永さ、悠李じゃダメなの?」



「“ダメ”って……」



「じゃあ、良いとこ挙げなさいよ」



「非はないかと」



家事もだが、勉強も出来るし、真面目で。

可愛く育ったし、問題はない。

それを一言でまとめて、煙草を銜えると奪われ、どうしたものかと眉間を掻く。



「悠李、泣いたらしいよ」



「……泣いた?」



「親子だからわかるけど、あの子はあんたを想って泣いたんじゃないかな」



「…………」



「このままだと、悠李は離れて行くよ」



「おばさんみたいにですか」



「私は3回フラれて、他に目を向けたら舜が居てくれただけ。あの子は私より頑固だからねー……。引き摺って引き摺って、行く行くは独身のまま、終わるのよ」



「それ、脅し入ってません?;;」



「まぁ、最後は冗談よ。けど、私があんたみたいな元タラシでも悠李を貰って欲しいと思うのに、このウジ虫がっ!」



…“ウジ虫”って;;

俺、何も言ってないけど;;

つーか俺……悠李の気持ち、知らねぇし。

俺も何にも言ってねぇよ。
< 34 / 78 >

この作品をシェア

pagetop