つめたい唇、涙をふいて。
出会い
ー10年前ー

春、出会いと別れが入れ混じる季節。
私の名前は広瀬秋、この季節のちょうど反対側、冬に向かっていく少し寂しい季節の名前。
私は両親のすすめで中高一貫校受験をして、遠くの街にある学校の寮で生活を始める。
1学年男女6人ずつの小さな寮、若草館。
私はここで彼に出会った。

「それでは、新入生の自己紹介お願いします。じゃあ名前と出身地、すきなものだったりすきなこと簡単に!じゃあ清田くんから。」

「清田悠です、サッカーが大好きでサッカー部に入ろうと思います!!6年間よろしくお願いします!」

「それでは最後に広瀬さんお願いします」
「広瀬秋です。すきなことは本を読むことと音楽を聴くことです、不安な事も多いですがよろしくお願いします。」

この人が私の人生の半分を占めることになる、清田悠との出会い。
悠は帰国子女で、英語がペラペラ。身長が低くて、くしゃっと笑うと目がなくなる。サッカーが大好きでクラスの人気者的存在。
対して私は人見知りで友達を作るのも得意な方ではなく、周りに合わせて生活することで精一杯。

そんな悠を普通な私が好きになるのに時間はかからなかった。

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