強引年下ピアニストと恋するカクテル。




さっきの消沈して落ち込んでいた様子から一変して、調子に乗りすぎてる。
(……でも元気になってくれてよかった)

「じゃあ、もうBARに来ないとか言わない? また怜也くんの演奏が聴ける? 颯太くんたちの結婚式は?」

そう尋ねると、彼はにやりと笑って頷いた。



「ああ。全部ちゃんとする。ご要望ならば――美緒の為だけに演奏もしてやるよ」


私だけの為に。
甘い音色も、繊細な指先も、心も、そして抱きしめてくれる温かな腕も。
全部私のモノ。
そう考えると、気付いたら抱きしめ返していた。
私が彼の気持ちを受け入れたと気付いたのか、強引だった腕は離れて、代わりにゆっくりと顔が近づいてきた。
彼の瞳を見つめながら、こぼれそうになる気持ちが恥ずかしくて目を閉じる。
すると、甘い音色と同じぐらい優しい唇が、私の唇と重なったのだった。


「俺を信じて待っててくれる? 俺、世界ツアー終わったら日本に移住する」

「そんな」

「日本のレコード会社をうちの祖父が経営してるから、小さいころからそう決めったんだ。それに――もう離れたくないし」
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