強引同期に愛されまして。
5.不器用な恋の結末は


 定時が過ぎ、人もまばらになり始めた。部長と、私と同じくらいの中堅の管理職数人で集まり、今後のスケジュール等を詰めた後は解散だ。

時刻は八時。ちょっと長引いたのでご飯でも、という誘いもあったけれど、今日は断った。
早く帰って、彼との時間を過ごしたい。

まだいるかしら、と営業部を覗くと、慌てた様子の永屋くんが私を見つけて駆け出してくる。


「三浦。ちょうどよかった」

「何?」

「梶さんがさ、田中に会わせてほしいって言いだして。下に来てるんだよ」

「は?」


永屋くんは、梶くんが勤めるトレンドハウスの担当営業だ。もともと、彼が営業で私がシステムを作る、という仕事の時に梶さんとは出会ったので、付き合うまでの過程も別れてからの過程も彼には知られている。

『ヨリを戻したい』って言ったときもそうだった気がするんだけど、どうして梶くんはそう突然会社まで乗り込んでくるの。
昔はもっと余裕あったはずなのに、海外転勤を終えてから余計なほど行動的になった気がする。ちょっとこっちが引くレベルよ。


「なんで?」

「どうしても自分で田中と話して、人となりを確かめたいっていうんだよ」

「だめよ。やめて」

「それがもう遅い。田中に言ったら、あいつ、すぐ飛び出して行っちゃって」

「はあ?」


そして田中くんは田中くんで、どうしてそう考えなしな行動をとるのよ。

梶くんと会う必要なんてないでしょう?
私の気持ちはちゃんと伝えたんだから。梶くんはもう関係ないんだからね。


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