ムラオキテ
「じゃ、そろそろ帰ろっか。

...帰り道、遠吠え集落について話そーか?」


芽衣がヒュードロドロ、と口で言うと、萌莉が笑う。


「お化けよりもあたしは、人間の方が怖いよ」


萌莉の機嫌が治ったことを確認し、芽衣は内心、ほっとしていた。


(萌莉はお金持ちでワガママだし、本気で怒らせたら何をするか分からない。

...あたしは、萌莉の親友だから、きっと大丈夫だけどさ)


その間に萌莉は、もう教室を出て廊下を歩き出していた。


ふんふーん、と鼻歌が聞こえる。


容姿端麗、成績優秀で統率力がある萌莉は、クラスの中心だ。


萌莉がなにかを言えば、全てが動く。


萌莉の周りには、常にたくさんの人がいる。


しかも萌莉はお金持ちで気が強く、恐ろしいほどワガママだ。


(あたしには、あまり言わないけど。


どちらにしろあたしは、萌莉の一番の友達、のはず。)


___芽衣はそう思い込み、不安の吐息を肺に閉じ込めると、萌莉を追いかけた。


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