ムラオキテ
「ねぇ、芽衣!」


「? なに、萌莉」


「芽衣は、なんでそんなに可愛くて、お友達もいっぱいいるの?」


がーん、と、頭を殴られたような錯覚が、芽衣を襲った。


(萌莉、あんたがそれを言うか)


半ば呆れがちに芽衣が肩を落とすと、萌莉はおーい、と芽衣の肩を叩く。


「ねぇね、なんでー?いっつも芽衣のこと、羨ましいなって」


萌莉が心底羨ましそうに身体をくねらせる。


実際萌莉は、本当に芽衣が羨ましかった。


自分の周りの友達は皆、自分の家の財力に騙されてやってきていると思い込んでいたからだ。


だから、自然に愛される芽衣を敬愛し、羨ましがっていたのだった。


でも、萌莉にだって魅力がある。


だから友達が集まってくるのだ。


「萌莉にだって、友達たくさんいるでしょ」


芽衣が怒ったようにそっぽを向く。


「...あんなの、本当の友達じゃないもん」


萌莉も拗ねたのか、ぷくりと頬を膨らませた。


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