青野君の犬になりたい
「青野君みたいに相思相愛の家族が茶太郎に見つかるといいのにな。おとなしくて優しくてとってもいい子だけど大きいでしょ。里親がなかなか見つからなくて、保護されてもう2年半たっちゃった。早く落ち着ける家を見つけてあげたいんだけど」と、茶太郎の前にしゃがみ込んだと同時に青野君が立ち上がった。
「カンナ、こっち!」と叫んで手を振る。
しゃがんだまま首だけ後ろに向けると、茶太郎と同じくらいの大きさの犬を連れた女性がやってきて、しゃがんだままの私の横に立った。
「ヤッホー、きたよ。うわあ、もしかしてこの子がチャー? 可愛いなあ」
彼女は白い歯を見せて正面の青野君と右下の私に交互に笑いかける。
長身、スレンダー、とても美人。
日本人離れした彫の深い整った顔立ちと、日本人離れしたフレンドリーな雰囲気。
長い髪を無造作に後ろで縛り、スリムジーンズと長袖のTシャツを着ているだけなのにスタイルが良いとこんなにもカッコいいのかと見とれてしまう。
テレビで人気の、有名デザイナーの孫娘に雰囲気が似ている。
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