青野君の犬になりたい
カンナさんの艶やかな茶色の髪が光を受けてきらきら光っている。
「いい感じだね」と、まだ互いに探りをいれているブチと茶太郎を見ながら彼女が青野君に笑いかけた。
「うん。大丈夫だよ。きっと仲良くやっていけるよ」
ん? 私は青野君を見た。
「もうね、書類は書いて渡してきたの」
カンナさんがブチと茶太郎の傍らにしゃがんで、「みんなでうちで暮らそう。楽しいよー」と2頭に向かって話しかけた。
「もしかして茶太郎の里親になってくれるんですか?」
「うん。書類のチェックに通ったら」
「カンナのうちで通らなかったら、誰も通らないよ。俺だって動物だったらカンナの家で暮らしたいくらいだ」
青野君が暮らしたいほど素敵な家なら良かった、と思ったらふいに涙が出てきた。
ハンカチもティッシュも持っていなかったので、人差し指でぬぐう。
「私じゃ嫌?」
青野君より先に私の半べそに気づいたカンナさんは立ち上がり、困った顔をした。
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