恋 ~余命1年ってなんですか?
出張期間3日間

教えて貰った住所 矢野さん宅へ


不在?と、思ってたらご近所さんが教えてくれた

入院してるって

ご近所さんがばったり会ったという病院へ


「退院されました」


個人情報ですので!って奴で現住所は教えてもらえなかった


まさかの所在不明


途方にくれていると



「あの…矢野さんとはどういうご関係?」


「姪です」



矢野さんがお幾つなのか知らないが
それらしい嘘をついてみた


「妹さんの娘さんですか!ご案内します!」



よし!!!




「君は……」

「久しぶり~!!
あ!案内ありがとうございました!」



あっけにとられる矢野さん


案内してくれた方がいなくなると
頭を深々下げた


「嘘ついて連れて来て貰いました!私…」


「川谷理江さんですよね」


「え?」


「USB受け取って、僕を探しにきたのかな」


「はい」



矢野さんがにこりと笑う
この部屋は、ホスピスの1室


「式典のサプライズ!一緒にしましょう!」

「ここ、どういうところか知ってるかい?」

「はい!矢野さん!!
私と生きた証を遺しましょう!!」

「ハッハッハッハッハッ!!!
君の仕事が好きで、君を後継者に指名した
なのに、僕に仕事させるのかい?」

「はい!あとどれぐらいですか?」

「そんなにズバッと聞かれると
驚くのも忘れるね~ 1年だよ」

「そうですか!式典まで半年!!
頑張りましょうね!!」

「まだやると言ってないよ!」

「これは、矢野さんの仕事ですよ
矢野さんがやらなくちゃいけない仕事!
私は、矢野さんの指示に従います!!」


「僕のメッセージに気づいたのかい?」


「はい」





ファイルを見ていて気がついた

恐らく30周年を完結とした
     
       愛の告白



「僕の大好きな人は、未だに気づかない
気づかないように作ったんだけどね
好きという気持ちがあっても
この体に期限があるのだから
彼女の幸せを願いたかった…」



矢野さんの気持ちが凄くわかる



「癌と診断されたのが、1周年の時
あの頃は、癌といえば助からない病だ
医療の進歩に生かされた
結果的には、30年そばにいれたのに
それさえも叶わなかった
この告白を続けているうちに
様々な癌になり、30年を最後にしようと
でも…余命1年を告げられて
限界を感じたんだ
だから、才能ある君が誰かに想い伝える
そんなサプライズをしてくれたらと…」



「やるべきです
彼女は、待ってるかもしれませんよ!?
矢野さんがやり遂げて告白しに来ることを
わかっていて、気づかないふりしてるのかもしれません!」



「考えさせて下さい」



「明日も来ます!!」






翌日



「手伝ってくれるかい」



「もちろんです!お手伝いさせて下さい!」











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