スイーツ王子と恋するレシピ
「実はな、抹茶と小豆を使った和風のマカロンを試作中なんや」

 レオはわたしに試作品のマカロンを見せてくれた。

「わー、おいしそう!

「食べてみるか」

「いいんですか? いただきまーす」

 さっきもマカロンを8個も平らげたというのに。ま、スイーツは別腹だしね!

「どうや」

「うん、おいしいです。でも…」

「なんや」

「もう少し後味がすっきりするといいですね」

「そうか」

 レオは真剣な顔つきになり、抹茶のマカロンを見つめ、何やらメモをし出した。
 
 スイーツのことに関しては真面目なんだなぁ…。

 わたしが感心をしていると、カランと扉が開いた。
 上品なマダムだった。

「いらっしゃいま…」
 わたしが日本語でそう言おうとすると、マダムはわたしをギロリとにらんだ。
 そしてレオに厳しそうな口調で何か言っていた。
「ウィ、ウィ」
 と、レオは返事を繰り返し、マダムはため息をついて出て行った。
 言葉がまったくわからないわたしでも、二人の間に不穏な空気が流れていることに察しがついた。

「あ、あの、レオさっきのマダムは…」

「この店のオーナーや。そして、オレの母親」

「お母さま…」

 
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