修羅場の色
 社内では創立三十週年記念パーティーの準備に追われていた。

 大手企業を始め、下請け会社が集まり、かなり大きなパーティーになりそうだ。



 当日、私は受付を任され、一応薄いブルーのワンピースに髪をアップにまとめ、それなりのお洒落をし、ホテルの会場の入口に並んだ。


 次から次へと来る招待客の確認と案内に追われていた。


「ご苦労様」


 声をかけてきたのは副社長だ。

 いつもと違う高そうなグレーのスーツを着こなし、副社長とういう名にふさわしかった。


 その一歩後ろに立つ女性……

 黒の光沢のあるノースリーブのドレスに身を包み、大きく開いた胸元には高そうなネックレスが光り、顎ラインゆるやかなウエーブの片方を耳にかけ、ピアスがきらりと光る。

 すっきりと整った顔立ち……  

 女優かと思う程のオーラがあった……


 私の体からは汗が吹き出て緊張からなのか体が固まる。


「お疲れ様です」

 私はやっとのことで平常心を保っていた。


「ご苦労様」

 彼女は私に声をかけると、副社長と共に会場へと入って行った。



 私は全身の力が抜け、ぼーっとなっていたのだろう。


 招待客に声を掛けられ我に返った。
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