【完】プライドなんか知らない
必死なあたし Side:朱莉
あやちゃんと一緒に居なくなってから、早一週間。
なんだか、全然すっきりしない。
一人で色々考えたいのに、毎日のように知らない人から声を掛けられて。
本気でキレそう。
「付き合ってください」
「…は、聞き飽きて耳にタコが出来そう、なんですが」
「好きです」
「あたし、知らない人に好かれても嬉しくないです」
「デートして?」
「…いい加減、訳分かんないこと言ってっと、しばくぞ、こら」
あー。
段々モヤモヤガイライラに切り変わってきた。
あやちゃんなら、とってもスマートにあたしの願いを叶えてくれるのに。
何も言わなくたって、あたしの欲しい言葉を沢山くれるのに…。
「あ"ー…なんなのさ。この感じ!」
あたしは遠くからあやちゃんの姿を見つめて一人うめく。
こんなに分かりやすく、チラチラ様子を伺っているのにも関わらず、あやちゃんはそれに全く気付いてくれない。
しかも、あたしのことなんか眼中にないってくらい普通の顔して外を見てる。
ジワジワ苦い思いが沸き上がってくる。
それがなんか凄くドス黒くて、自分が汚れたみたいに惨めになった。
もう、あやちゃんの傍には居られないのかな…。
このまま、また…。
前みたいにただのクラスメイトで…あやちゃんの興味も無くなっちゃうのかな…?
そう思ったら、胸がぎゅうっと締め付けられるようになった。