キミは甘のじゃく
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「それじゃあ、行ってくるな」
玄関から眞琴くんが叫ぶのが聞こえると、私は慌ててキッチンから飛び出した。
「ちょっと待って!!忘れ物!!」
「っ走るんじゃーよ、ボケ!!」
自分の発言に気がついたのかコホンと咳払いをした。
「……気を付けろよ。もう、お前ひとりの身体じゃないんだからな」
「うん」
……あの訳アリ結婚から早いもので2年の月日が経過した。
本物の夫婦になってからというもの、眞琴くんは少しだけ変わった。
理不尽が鳴りを潜め、暴言を少しずつ改めるようになったのだ。
それだけ懲りたということなんだろうけど、言われなければそれはそれで物足りないような気がするのは内緒だ。
優しく私のお腹を撫でる眞琴くんだって、好きなことには変わりない。