キミは甘のじゃく

「ありがとう、さくら!!」

安心したように息をついたお母さんとは対照的に、私は時計を見て青ざめた。

「やだ、もうこんな時間!!」

時計を見ると8時を少し回ったところだった。

……このままでは仕事に遅刻してしまう。

「いってきます!!」

私は取るものも取りあえず、バッグを引っ掴んで家を出たのだった。

(お見合いかあ……)

……朝からとんでもない話を聞かされてしまったものだ。

(安請け合いするからこんなことになるのよ、もう……!!)

私が引き受けなかったら一体どうするつもりだったのだろう。

本音を言えば行きたくないけれど、引き受けてしまったものは仕方ない。

青山さくら、27歳。

ひょんなことから、この度人生初のお見合いに行くことになりました。


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