空と君とダイヤモンドと
「なっ!いまさら!」



ワカがあたしの前に立つ。



「渡したかったから」


「我慢してくださいよ!塁さんだからあまり言いたくないけど、あの日のこと瑛梨奈はいまだって忘れてないんすよ!?」



ワカの真剣な声にびっくりする。



「ワカ、いいから」


「良くねぇだろ!思い出してほしくなんかないんだよ!瑛梨奈が傷つくところなんてもう見たくないんだよ!」



ワカがあたしの手に乗っているプレゼントを掴む。



「ワカ?」


「ちゃんとできようになってからこういうの渡してください。お願いします」



塁くんの手にプレゼントを乗せて頭をさげる。



「ちゃんと…ね」



塁くんが切ない表情になる。



「塁くん?」


「なんでもないよ。これは持って帰るね」



ぎゅっとプレゼントを握って寮の中に入る。



「ごめん。瑛梨奈。プレゼント欲しかったよな」


「ううん。ワカの言った通り、思い出したくなかったから」



これは本音。
ワカには感謝ばかりだよ。

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