視線から始まる
「だから、もう彼女には関わるな。分かったね、愛菜?」
「でも、私瀬那ちゃんと仲良くなりたい」
まだ言うか。と、少しイラッとしてきた瑠依。
「愛菜がそう思っていても彼女はそう思っていないよ。
現にもう彼女は愛菜のことなんか興味から外れてるじゃないか」
美玲の側で読書を再開した瀬那の姿をちらりと見る。
もうこちらには見向きもしていない。
少し厳しく言い過ぎたか、涙を溜め始めた愛菜。
しかしこれぐらいはっきりと言わないと、愛菜は理解しないことを瑠衣は分かっていた。
「そんなに女子の友達が欲しいなら、俺達から離れれば良いだろう?
そうすれば、神崎さんは無理だけど他の女子の友達はできるんじゃないの?」
「やだ、一緒にいる!
でも、女の子の友達も欲しいんだもん」
今にも溢れそうなほど目に涙を溜める愛菜に溜息を吐く。
そんな中、空気を読まない総司が口を挟む。
「ところでさ、瑠衣」
「何?」
「読書を邪魔するなってのは分かったけど、なんで昼休みに非常階段に行ったら駄目なんだ?」
「ああ、なんでも昼休みには神崎さんがそこでお昼ご飯を食べてるらしい。
騒がしいのが好きじゃない彼女が、人の来ないそこで食べるようになってから、親衛隊が立ち入り禁止にしたそうだよ」
「ふーん」
「興味ないなら聞くなよ」
「いや、なんとなく?」
話はそこで終わったが、まだ愛菜は納得していなさそうだった。