視線から始まる




「だから、もう彼女には関わるな。分かったね、愛菜?」

「でも、私瀬那ちゃんと仲良くなりたい」



 まだ言うか。と、少しイラッとしてきた瑠依。



「愛菜がそう思っていても彼女はそう思っていないよ。
 現にもう彼女は愛菜のことなんか興味から外れてるじゃないか」



 美玲の側で読書を再開した瀬那の姿をちらりと見る。
 もうこちらには見向きもしていない。



 少し厳しく言い過ぎたか、涙を溜め始めた愛菜。

 しかしこれぐらいはっきりと言わないと、愛菜は理解しないことを瑠衣は分かっていた。



「そんなに女子の友達が欲しいなら、俺達から離れれば良いだろう?
 そうすれば、神崎さんは無理だけど他の女子の友達はできるんじゃないの?」

「やだ、一緒にいる!
 でも、女の子の友達も欲しいんだもん」


 今にも溢れそうなほど目に涙を溜める愛菜に溜息を吐く。
 そんな中、空気を読まない総司が口を挟む。



「ところでさ、瑠衣」

「何?」

「読書を邪魔するなってのは分かったけど、なんで昼休みに非常階段に行ったら駄目なんだ?」

「ああ、なんでも昼休みには神崎さんがそこでお昼ご飯を食べてるらしい。
 騒がしいのが好きじゃない彼女が、人の来ないそこで食べるようになってから、親衛隊が立ち入り禁止にしたそうだよ」

「ふーん」

「興味ないなら聞くなよ」

「いや、なんとなく?」




 話はそこで終わったが、まだ愛菜は納得していなさそうだった。




< 17 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop