視線から始まる




「そうだ、瀬那。
 ゴールデンウィークの日曜日予定明けといてくれ」

「良いけど、何かあるの?」

「パーティーがあるんだ。あの一条院財閥主催のな」

「そんなの急に言われても、何着ていって良いかも分かんないのに」




 一条院財閥主催のパーティーだ。
 訪れる人もきっと一流の人達だろう。

 瀬那は自分が浮かないか心配する。




「それはこっちで手配するから、瀬那は俺に付き添ってくれるだけで良いよ」

「私マナーとかも分かんないよ?」

「大丈夫、大丈夫。
 俺の横で笑っといてくれればそれでいいからさ。な、頼むよ」




 目の前で手を合わせる歩に仕方がないと息を吐く。




「分かった。その代わりちゃんとフォローしてよね」

「勿論。サンキュー瀬那ちゃん」

「気持ち悪い」



 猫なで声を出す歩を冷たく一瞥し、朝食の準備に取りかかる。




 一条院財閥主催のパーティー。
 ということは枢も当然出席するはず。



 もしかしたら美玲も出席するかもしれないと思いつく。

 有名ブランドの社長令嬢である美玲ならば、呼ばれている可能性は大いにある。
 知り合いがいると思うと瀬那も少し安心だった。


「美玲に聞いてみるか」


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