金木犀の季節に



家に戻ると、今度は母が出迎えてくれた。

「またお兄ちゃんにパシリにされたのね」
「うん」
「でもよかったね。
明日、台風が夕方に上陸するらしいから午前授業にするって学校からメールが来たよ」

普段なら手を叩いて喜ぶところだけど、それはできない。

明日は絶対に台風なんて来てはいけないのだ。

しかも夕方からなんて、酷すぎる。


……きっと、明日が奏汰さんに会える最後のチャンスだから。





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