金木犀の季節に


どんなに天気が悪くても、私はあの人に会いにいきたい。
でも、高波の心配がされると、高台への道は封鎖されてしまう。
もしかしたら、昭和十九年の明日の夕方も台風が上陸しているかもしれない。


私に会いに来るために、奏汰さんに危険が生じるのなら、会えなくったっていい。

でも、別れ際に彼はこう言ったのだ。
「また明日」
と。

奏汰さんは絶対に来る。
約束を破ったりするような人ではないから。
まだ二回しかあってないのに、やっぱりわかる。

真っ直ぐ前を。
未来を見つめる瞳は裏切らない。




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