【完】蜂蜜色のヒーロー。


少しだけ不思議そうに、私の肩に顎を乗せて、甘えるような雰囲気が伝わってきた。


……そうして、少しでも密着しようとするのは、路惟くんが決して言葉にはしない、寂しさや不安からだって、わかってるよ。



「……ごめんなさい」


「……は? なにに謝ってんの?」


「私、路惟くんに隠し事してた。それで、路惟くんのこと困らせたでしょ? だから、ごめんね」



背中に回そうとした手を、止めた。


だって、路惟くんを困らせたような私が、彼女って立場に立ってていいのかな?


私なんかといるよりも、もっと素直に甘えられる、頼れる子のほうが路惟くんは幸せなんじゃないのかな?



そう思ったら、抱きしめ返すことができなかった。だけど、路惟くんは私の後頭部を抑え込むと、そのまま自分の胸に私の顔を埋めた。


……やばい、息こそできるけど話せない…!


それ狙ってる!?

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