冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~



「お姉さま、あぶなくはない?」

「だいじょうぶよ、本当を言うとねフロー、わたしもう何度か抜け出したことがあるの」

ふたりは庭園を囲む生垣のところにいた。
もとは庭園は外とつながっていたのだが、後から生垣を植えたようなのだ。

その生垣をくぐり抜けられるトンネルを、ルーシャは知っているという。

「ここよ」と小さな穴をしめす。

「だって向こうがわまで抜けてないわ」

そんな抜け穴があったら、園丁も放っておかないだろう。

「もぐってみれば分かるのよ。横にトンネルが伸びてるの。そこをさらに進むと、こんどは外に抜ける穴があるの」
ルーシャが得意げに説明する。

「ちょっと外を探検しましょうよ」

「お母さまが遠くへ行くとあぶないと言っていたの」
フロイラはしりごみする。

迷子にでもなったら、それに林の奥には危険がいっぱいと聞かされていた。
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