冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「湖のほとりの木の枝にかけてありました」

なぜこんなものが、この侯爵領に・・・

あれを見ろ!

木立の向こうで上ずった声がする。

「大変だ」
「湖に人が!」

猟場番や雑役夫たちが口々に叫んでいる。

クラウス様、とリュカは家令として口を開く。
「身投げか事故か、どうやら湖に人の姿があるようです」

「ーーー引き上げてやれ」
一息おいて、彼の若き主は命じた。
ここは彼の所有地。そこにいる者を生かすも殺すも、彼の一存だ。

若いといっても、リュカとて同じ年なのだが。

ドボン、と雑役夫が水に飛び込む音が、木立をこえて耳に届く。

ロープを投げてくれ、
こっちだ!

男たちの声に、興奮した犬たちの吠える声が重なり合い、場の空気は慌ただしさを増す。
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