お見合い相手は冷血上司！？

　今日はこれから、課長と例の企画の為に北海道へ出張だ。
　朝突然連絡が来て集合場所を駅から会社に変更された時は何事かと思ったけれど、この為だったらしい。

　ジャケットを脱ぎシャツ姿で、既に一仕事終えた様子の課長。
　こんな日にも呼びたされたのかと思うと、さすがに気の毒だ。

「鈴原、来たか。時間がない。すぐに出るぞ」

「はい！　よろしくお願いします」

　ジャケットを片手に数人の社員に指示を出して回る彼は、最後に木津主任に声をかけると、ようやく私のところへやって来た。

「待たせた。行こう」

　課長の背後から、みんなの哀れむような視線が突き刺さる。その異様な光景を見ていると、まるで自分が生贄にでもされるような気分になってきた。

　一際強い視線を向けてくる桃に軽く手を振り、私と課長はオフィスを後にした。