副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「おはよう。水川さん」
いつも通りに入ってきた副社長に莉乃も
「おはようございます」
と表情を崩さずに言った。

誠は朝起きて姿が見えなかった莉乃に、やっぱりと思う気持ちと、なぜ?というか気持ちが入り混じっていた。
それでも平静を装うと、

「今日は会議の後、少し出るから」
莉乃は特に予定の入ってないスケジュールを見ながら、
「わかりました」
とそれだけ答えると、莉乃はパソコンに目を向けた。

誠が会議に入っている間、受付から内線が入った。
「副社長室、水川です」

「受付、長谷川です。今下に……」
少し言葉を濁した長谷川に、
「どうかされましたか?」

「それが……。間宮様という女性が副社長あてにいらっしゃてます。お約束が無い方はお取次ぎできないとお答えしたんですが、今日副社長とお約束していると……」
そこまで聞いて、莉乃は会議の後、約束があるという言葉を思い出した。

少し息を吐くと、
「お通してください」
莉乃は冷静に伝えた。
「かしこまりました」
長谷川の言葉を聞くと、莉乃は受話器を置いた。

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