副社長には内緒！〜 Secret Love 〜
莉乃はその声にビクっとした。

その声に反応したのは千堂だった。
「副社長…どうされたんですか？こんなところまで」
微笑んでいった千堂に、誠はさらっと言葉にすると、一歩前に進んだ。

「水川さんに確認したいことがあったんだ。ちょっと来て」
一瞬躊躇した莉乃を守るように、

「水川さん、調子が悪いそうなんです。お急ぎの件ですか？社長はもう出られましたよ？副社長。プライベートのご予定ですよね？」
そのすこし挑発的な言葉と大人の男の目の意味を誠も悟った。

「わかった」
それだけ言うと誠は秘書課を後にした。

「ごめん。なんか困ってるみたいだったから、追い返したみたいになったけどよかった？」
千堂は申し訳なさそうな顔をすると、莉乃を見た。
「いえ……。大丈夫です。ありがとうございます。お先に失礼します」

それだけ言うと早足に会社を後にした。

（なんで何も言ってくれないの？どうして？あたしは何？内緒にしなきゃいけない事なの？）

莉乃は平静をとても保てなくなっていた。

（なんで、他からこんなことばかり聞かなきゃいけないの？こんな子供みたいな感情は持ったらダメなの？でも……。私がいるのに何でほかの人と結婚を考えるの？なんで……なんの説明もしてくれないの？）

莉乃は一度渦巻いた感情を抑えることができなくなっていた。

ボロボロ流れる涙を抑えきれず、ベッドに横たわった。
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