副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「よくにあってる」
ふと、頭上から降ってきた意外な言葉に、私は驚いて顔を上げた。

「ほら、真っ赤なバラに、莉乃のピンクの頬。潤んだ瞳。どれをとっても俺を誘惑する」
そう言うと、ゆっくりと誠の顔が目の前にきて温かく唇が塞がれた。

「愛してる……」
触れるだけのキスを繰り返しながら誠はクスリと笑った。
「日本だけだろ?バレンタインに女の人から男の人に贈るのは。本来、男が愛を囁く日だよ」
そう言われようやくこのバラの花束が誠からだとわかり、私はまた涙が溢れた。
「ありがとう……キレイ嬉しい」
「莉乃も俺に食べさせて」
テーブルの上のケーキのいちごを誠はフォークで刺すと、私にそれを渡した。
「あっ……うん」
泣きながらそっとそのいちごを誠の口に入れようとすると、
「ちがうだろ?」
妖艶な微笑みで、誠は私の手を握るとそのままいちごを私の口に咥えさせた。
「んっ?」
意味がわかるような、わからないような気持ちでそのまま誠を見つめると、
「そうだよ。わかるだろ?ほら」
ソファーに座りながら私を見つめる目に、完全に心を持ってかれて、そっと誠の横に膝をつくと、ゆっくりと顔を近づけた。
唇が触れるか触れない距離でいちごを誠の口に近づけると、すぐにチュとキスをされた。
「うん、うまい。莉乃ありがとう」
ゆっくりと咀嚼して、ぺろりと唇を舐めた誠に、私は完全にペースを奪われた。

私から攻めるなんてもう無理だ……。

そのまま深いキスをされて私も息が上がり、誠の髪をかき乱した。


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