副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「そういえば遅くなったけど、こないだの夜悪かったな」
誠は申し訳なさそうな顔をして莉乃を見た。
「ああ、あの日。徹夜明けで飲むから」
「少し飲んだ方が眠りやすいと思ったんだよ。ちゃんと帰れたか?」
言い訳のように言った誠がおかしくて、莉乃はフフッと肩を揺らすとゆっくりと誠を見上げた。
「帰れたからここにいるよ。大丈夫」
「そっか。良かった」
誠のホッとした表情に莉乃も笑顔を向けながら、会社とはまったく違う誠を不思議な気持ちで見つめた。
(この人って思ってた以上に誠実じゃないの?親友の為に来たくない場所に付き合い、どうでもいい女にも気を使って……本当は優しい人……なの?)
莉乃はそこまで考えると、ハッとして思考をストップさせるように少し頭を振った。
「さあ、乗るか」
不意に掛けられた誠の声に、莉乃も頷くと順番が来たアトラクションへと乗り込んだ。