副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
誠と莉乃は近くの和食の店に入ると、遅い時間という事もあり、込み合っている事もなくカウンターに案内された。

「これいいんじゃない?」
莉乃は誠の指さしたメニューに目を落とした。

【夜の御膳】

焼き魚や豆腐、煮物などがついていて莉乃も好きなメニューだった。

「おいしそう。副社長の健康にもよさそうですし」

その言葉に誠は苦笑いをすると、
「俺だって別においしいものは好きだよ。ただ、めんどくさいのが勝つだけで」
「普通の人は、めんどくさいより、食欲が勝つんですよ?」
クスリと笑った言った莉乃に、誠は肩をすくめた。

「美味しい」

「ホントだな。今日は1食はまともな物を食べたから良しだな」
その言葉に、莉乃は啞然として、

「1食だけじゃダメじゃないですか?お昼、商談おわってから食べなかったんですか?」


「いや食べたよ」
少しバツの悪そうな顔をした誠を莉乃はジッと見据えると、
「何を?」
「コンビニのおにぎり一つ食べた」
その言葉に莉乃はため息をつくと、デザートのメロンを口に入れた。

「さあ、行くか」
「はい」
会計はもちろん誠が莉乃に有無を言わず済ませ、莉乃は頭を下げた。
「じゃあ、駅はこっちなのでお疲れさまでした。あと、すみません。ごちそうさまでした」
莉乃は、少し照れたように言葉を発すると、誠を見上げた。
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