私のご主人様Ⅲ

「おーっす。奏多起き上がれるの?」

軽快な足取りで部屋に入ってきた信洋さんは、俺を見るなりニヤリと口角を上げる。

「ん?どーした?」

そのまま暁の隣に腰かけた信洋さんは、俺たちを見て首をかしげる。

暁と視線を交わし、信洋さんに視線を戻す。

「琴音ちゃんのことなんですけど」

「ここちゃん?…会わなさすぎて禁断症状でも出たか」

「茶化さないでください。…ケータイの連絡先、増やしたんですか?」

一瞬逸れかけた軌道を強制的に戻し、本題に触れる。信洋さんは一瞬目を見開いた後、少し悩んで口を開く。

「確かにクラスメイトの連絡先を何個かはな。でも、全部監視してるけど変なやりとりなんかしてないぞ?」

「いや、ならいいんですけど…。最近頻度が多いって暁が言ってたので気になって」

「最近俺たちも忙しくてここちゃんに構ってやってないからなぁ。まぁ、友達が出来るのはいいんじゃね?」

あくまでも楽観的な信洋さんは、特に問題視する様子もない。

だけど、それなら暁が気になる理由はなんだ。ただ目についただけか、それとも…。
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