私のご主人様Ⅲ

手を引かれたままたどり着いたのは保健室。

事務作業をしていた先生が顔を上げ、私たちを見た。

「あら、どうしたの?」

「手当てしてやってください」

捕まれていた手を離され、先生の前に押し出される。

左手首を見た先生は、まず洗ってねと手洗い場を指差して消毒の用意をしてくれる。

言われた通りに傷を洗うと、水気を拭き取られ、あっという間に手当てされて絆創膏を貼ってもらえた。

「かすり傷だからすぐ治るわ。お大事に」

「…」

頭を下げると、季龍さんに腕を捕まれて保健室を出る。

そのまま突き進んでいく季龍さんに引きずられるまま、やって来たのは空き教室。
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