どうも、うちの殺人鬼(カノジョ)がお世話になってます。
「ほら、俺は名乗ったよ。人の名前聞いたら自分も名乗るのが道理ってモンじゃねーの?嬢ちゃんの名前、俺にも教えてよ」
ニヤニヤした口元がミラー越しに見えた。
私の昔を知ってるくらいなら、私の名前くらい知ってるでしょうに。
ムッとしつつも、返すように自分の名前を言った。
「小紺。市木 小紺です」
「へえ。下の名前から名乗るんだ」
「母親……いえ、あの人と同じ苗字というのが嫌なので」
「はは、なるほどな。あの女から産まれたっていう事実を少しでも無かった事にしたいって訳だ」
あー、もう。この話題は早く終わりにしたいのに。
「三つ目の質問です……私は、どこへ連れて行かれるんですか?」
話を思いっきり逸らした。
そんなの言うわけないって分かってるけど、聞かずにはいられなかったし。
「知ってどーするんだよ」
当然ながら、逆に質問で返された。