【紫・長編】華押(hana oshi)
彼はどうなのだろう?
主人は気に入ったからこそ遠視の魔法を使ったのだろう。気難しい面を多々みる彼女には、ログのお人好しの性格で『項をなした』のだろうと想うものの、ログの恋心は『汚物』扱いされるだろうなと彼女は想った。かつて自分がそうであった様に。それは主人の性格に問題があるのではなく、彼には恋する両想いの女性を待たせているという、彼女の『失恋』も決定しているからだ。それでも良い、近いところに届きたいと想った彼女は案内人の仕事をしている。ログはどうだろう?ドラゴン(特に火竜)の事に人生をかけているみたいだが、だから失恋ごときで、この仕事をふるのかどうか?わからない。一度だけの魔法による邂逅だから、彼女が想うより傷は浅いかもしれないが、へべれけになるまで飲んだくれた今日の状態を想うと、深い傷に成っているのかもしれない。
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