【紫・長編】華押(hana oshi)
頭だるだるで起きたログはデスクにうつ伏せに成った彼女を見て驚いた。彼女は熟睡していた。がんがんする頭を押さえながら『水晶越しに見た』仕事の依頼人が男性であり伴侶もいると知った。『失恋』した自分はやけ酒をあおり、そこから意識が無くなっている。軍人を思わす彼女が、運んでくれたのだろうな?と、恥ずかしさで一杯になる。どんな寝言を言ってたのだろう。痛くて辛い胸の中身は、吐ききった爽やかさだから、恥ずかしいことも聞かれているだろう。
ログは苦しく悔しいが『失恋した相手』の仕事を引き受け様と考えていた。
それにしても女性に情けをかけられたログはその肩をぽんぽんと叩き、自分のベットで眠る様に促した。寝ぼけ眼の彼女は、よっぽどログの愚痴に付き合っていたのだろう。『ねむい』と書いた顔でログに誘導されると、ぐーぐーいびきをかきだした。
< 96 / 107 >

この作品をシェア

pagetop