カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
私は何処をどうやって、青森に着いたのかさぇ、覚えていない。

あの時の私は、ずっと上の空で、なにもかも景色が灰色に見えていた。

三日間の日程はなにひとつ覚えていなく、ただ、バスガイドさんが歌ってくれた、林檎の歌と、非業の死を遂げた八甲田山の軍人の話だけが、やけに耳にのこっていた。


普通は、中学最後の修学旅行を満喫をして、一生の輝ける思い出となるはずなのに、あの頃の私は、今考えてもちっとも思いだせないでいる。


早く帰りたい。

どんな様子なのか、ただ、ただ知りたかった…






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