今日も君思ふ
4月

入学式の悲劇


入学式当日。

私は絶望した。

「和子先生、横のところにすわってたよなー。」

「なー。もしかして担任持つかも。髪の毛切ってたし。」

入学式の帰り道、同じく信号待ちをしていた男子たちの会話を聞いた私は、一瞬頭が真っ白になった。

新中学3年生は毎年入学式で、新入生の前で合唱を披露する。

私は、何故だがよく分からないけれど、学年主任の音楽の先生に気に入られて(?)いて、先生の推薦で、ソプラノのソリストをやっていた。

ソリストは合唱台には上がらず、指揮者の目の前の目立つところに立っていたので、あまり周りをキョロキョロすることができなかった。

だから、新一年生の先生方の席に和子先生が、座ってるなんて思ってもいなかった。

確かに。春休みの登校日にはいなかったし、今日の練習にもいなかったけどさ。

だけど学年が違ったらもうお話しできなくなっちゃうな.…。
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