桜の季節、またふたりで
竣くんのことを思い出すたびに、罪悪感にさいなまれる。


隠れて会っているわけではないのに、浮気しているような後ろめたさがある。


カズは、こんな私の気持ちに、気づかないフリをしてるんじゃないだろうか。


カズはいつもまっすぐで、優しい。


私を一番に考えてくれているし、何の問題もない。


いつになったら、竣くんを思い出さなくなるんだろう。


10年後も20年後も、かなわなかった初恋として思い出すのかな。


その時、私の隣には誰がいるんだろう。


カズはそばにいてくれるのに、どこにいるのかさえわからない竣くんに会いたくなる私がいる。


まどかも言ってたように、今の私は幸せなんだから、このままでいいんだ。


そういう風に自分に言い聞かせて、納得する毎日だった。


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