桜の季節、またふたりで
最後まで言わせてもらえなかった。


五十嵐さんは私の両手を握って、


「今の話を聞いても、俺が美春ちゃんを好きで、つきあいたいっていう気持ちは変わらない。


っていうか、もっと一緒にいたくなった。


俺たち、少し似た環境で過ごしてきたじゃん。


だから、きっとわかりあえるし、お互いにさみしい気持ちにさせないようにできるだろ?


大切にするから、俺の彼女になって」


大きくてあったかい手で、私の髪をそっとなでた。


「今日からは一人じゃない。


俺がずっと、そばにいるから」


一人じゃない。


その言葉に、私は救われたんだ。


もう、さみしい思いはしなくていいんだって。


「・・・よろしくお願いします」


「やった」


小さくガッツポーズする五十嵐さんの笑顔に、私は何度も救われたんだ。


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