イケメン小説家は世を忍ぶ
12、一縷の望み ー 桜井建(ケント)side
結衣の声がしてアーロンの攻撃をかわしながら後ろを振り返れば、銃声が鳴ると同時に彼女の身体が俺のところに吹っ飛んできて慌てて抱き止めた。

「結衣!」

そう声をかけると、結衣は目を閉じたまま苦しそうに顔を歪める。

「うっ……」

手がベトッと濡れる感触がしてハッとして見てみれば、それは血だった。

「……撃たれたのか?」

結衣の身体を確認すると、右肩を撃たれていた。

血が彼女の服を赤く染めていく。

早くここを脱出しないと……。

もう頭にはそれしかなかった。

「坊主、女の心配してる場合じゃねえぞ!」

アーロンの蹴りがとんできて、俺は左手で結衣を支えながら右手で攻撃を防いだ。
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