イケメン小説家は世を忍ぶ
13、今夜だけ……
「う……ん」

寝返りを打って目を開ければ、目の前にケントの美形な顔があって……。

「……ケント?」

私は驚きで目を見張った。

彼は椅子に座ったまま私のいるベッドに突っ伏して寝ている。

まだ夜なのか外は暗いみたいで、ベッドのヘッドボードの上にある薄暗い照明が、ケントの顔を照らしていた。

「……何でここでケントが寝てるの?それに……ここどこ?」

薄暗い中、目を凝らして周囲を見るが、場所がわかるようなものは見つけられない。

物音も人の話し声もしない。

どうやらこの部屋には、ケントと私しかいないらしい。
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