イケメン小説家は世を忍ぶ
シャワーを浴びていたらインターホンが鳴り、無視しようと思ったが、何度も鳴らされるので仕方なくシャワーを中断して応対。

文句を言ってやろうかと思ったが、訪ねてきた相手は朝倉出版の人間だった。

右手を火傷して仕事が遅れるかもしれないと朝倉さんに連絡をしたから、彼が気を利かせてすぐに人を寄越したのだろう。

朝倉さんはインフルエンザで動けないと聞いていたから、自力で何とかすると伝えてあったのだが……。

渋々玄関を開ければ、そこにいたのは少女と言っていいくらいの女の子で少々驚いた。

一見十五、六歳の子供に見えるが、出版社から来たということは子供ではないのだろう。

今では日本人でも珍しい漆黒の長い髪に、つぶらな黒い瞳。

肌は透き通るように白くてシミひとつない。

綺麗な容姿に自然と目がいく。

「ギャッ」

上半身裸の俺を見て奇声を上げる彼女。
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