イケメン小説家は世を忍ぶ
腹を立てている彼女にモモの牛乳を頼むと、案の定断られる。

そこで 「原稿が仕上がらなくてもいいんだな?」と再度結衣の弱点を攻めると、殺気をみなぎらせて俺に確認してきた。

「牛乳でいいんですね?」

「ああ。宜しく頼む」

涼しげに返事をしてモモを撫でる。

逆上して俺の前からいなくなる結衣。

彼女がいなくなった庭でモモと桜を眺めていると、佐代さんがやって来た。

「可愛いお嬢さんですね。やっぱり、女の子がいると家の中がパッと華やいでいいわあ」

「華やぐというか、賑やかですね。佐代さんだって俺にとっては女の子ですよ」

先程の殺気に満ちた結衣の顔を思い出しながら、俺はにこやかに言った。

「まあ、嬉しいこと言ってくれますね」

ホホッと佐代さんは上品に笑う。

「それで、いいお話は書けそうですか?」
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