俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
柳井家にも変化があった。
母と祖母が明るくなった。
親父が死んでから欠けていたものを2人とも取り戻したようだった。
「母さんきっと商売の才能あったのよ。もったいなかったよ、ずっとお父さんに頼りっぱなしだったの」
母は営業所でトップクラスの売り上げを稼いでいるらしく、給料日の夕食は豪華なものになっていた。
「それにしても、男と女は年がら年中よく飽きずにえっちなことすんだなぁ。これでも少子化問題は良くならねぇんだから世の中よく分からねぇだ~」
ラブホ従業員になった祖母も、近所のジジババグループと遊ぶお金に余裕ができたようで毎日楽しそうだ。
「そうだ、お義母さん。今度ゆっくり旅行でも行きません?」
「いいねぇ、自分らで稼いだお金なんだからパーッと使わねばな~」
「そうよね。『はした金、使うからこそ、価値がある』」
「んだんだ。『観光地、金落とさねば、廃墟化だ』」
「「あっはっはっは!」」
謎の川柳合戦を繰り広げゲラゲラ笑う母&祖母。
それを横目に無言で飯を食らう俺。