甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 
ブランドン伯爵の長くて形の良い指が、そっとフィーネの眼鏡をはずす。



   
   「度が入っていないんだね、だったらかけないほうがいいのに」



 
 眼鏡をはずしながら、ほつれた髪をそっとフィーネの耳にかけたブランドン
 伯爵は、さらりとフィーネの耳にさわると囁いた。



   
   「かけてない方が、可愛いよ」



 
 くすぐったくなるような甘い言葉。

 それきり眼鏡は取り上げられたままで、フィーネはもう眼鏡で自分の顔を
 隠すのはやめた。

 かわりにフィーネは、隠さなければならない気持ちを抱き始めていた。

 絶対好きのならない、そう自分を戒めているはずなのに、
 限られた日の、僅かな時間しか逢っていないのに、
 どんどん気持ちがブランドン伯爵に傾いていってしまう。

 どうしよう、彼はクリスティーナの恋人なのに......。

 でも、伯爵の優しさを知ってしまった今、フィーネはクリスティーナが
 彼にふさわしいとは思えなくなっていた。

 だからといって、クリスティーナの性格についてあれこれ言えば
 伯爵の気を引きたくて悪口を言う女だと思われそうで口にできない。

 どうしたらいいか心を決められないまま、短い夏が終わろうとしていた。
 
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