ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
夢の中
「……な~かなか。

やってくれるじゃないですか?

シンラ……まさかのまさか、ノートでくるとは。

私も想定外でしたよ……!」


「何、そのノート、なんって書いてあんだよぉ!

あぁあちくしょう、そこで音読くらいしろよ、モモー!」


「ケイ兄、んな無茶な……」


「何もそんな、帰ってきたら、そのノートを提出させれば。

それでいいじゃない」


「今知りてえんだよ、いーまー!」


「あぁもう、ほんまやかましわ、お前ら。

ほれ、なんや溜め込んどったもん話しだしおったから、静かにしとれや」



*****


……その時、城ではそんな会話がなされてるなどつゆ知らず。


「……気がついたら、リンの奴がわんわん泣いてるし……。

ほら電話したって言っただろ、イサキのおじさん、おばさん、ユウキも。

あれからすぐにこっちに向かって来てくれてて。

ちょうど、俺がぶっ倒れた直後くらいに病院に到着したんだとさ。

30分くらい……かな。

俺、意識がなかったみたいでよ。

簡易ベッドに寝かされてて……起きあがって近くのベッドを見たら、母さんの顔に、布がかぶさってた。

……おばさんに、怒られたよ。

『大変な時に義妹一人ほったらかして、何やってんのよ』ってさ……」


モモが鼻をすすった。


顔を見たら、既に涙でぐちゃぐちゃだった。


「だから、お前が泣くなって……」


「だって!

シンラが泣かないだけ、だもん。

……いいじゃない、悲しい時に泣くのは当たり前でしょ」


ポケットに入っていたティッシュを渡してやると、彼女は盛大に鼻をかんだ。


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