*Only Princess*
「あ、あたしは高村 菜生です……」
一応、自己紹介しとく。
みんなもしてくれたんだから、言わなきゃいけない気がした。
「うん、知ってる。昔てったが教えてくれたからね」
「え、昔……?」
「まあ…いろいろあって、話したんだよ」
「そう、なんだ……」
あぁー……みんなの前だといつものあたしじゃいられない。
嫌いっていうのもあるけど、怖いってほうが強いのかもしれない。
思ったんだけど、なんで白鷹のみんなも"てった"って呼ぶんだろう?
あたししか呼んでいない、特別な名前と思っていたのに。
嫌な気持ちがモヤモヤと浮かび上がる。
「それで、菜生が聞きたいことは何かな?」
えっ、いきなり呼び捨て!?
ま、まあいいけど……。
あたしがまず聞きたいこと、それは。
「てったはなんで、白鷹に入ったんですか?」
「そうだな……俺が勧誘したんだよ。夜の街で、人を殴ってるてったを見てね」
てったが人を殴ってた?
そんな、信じられない。
だって人を殴るような人じゃなかったもん。