*Only Princess*
「それにしても、珍しいよなー。てったがあんなに感情を表に出すなんて」
「てったは特に、朱雀を気にしてるようでしたし」
「ま、俺らもちょっと嫉妬したなー。これ以上朱雀に近づいてほしくないのに、菜生ってガード緩いからさ」
「そーそ。僕たちのときは、めちゃくちゃガード固かったのにね」
「うぅ……それはごめんなさい」
また俯き加減になったとき、琉依があたしの頬をつねった。
「へこまないの。これから気をつけてくれればいいから」
「琉依……」
ありがとう。
でもさ……
「……手、放していただけます? 痛いっす」
「あはは、ごめんね」
最近薄々思ってたんだけど……琉依の態度ちょっと違くない!?
Sっ気が出てきたというか、琉依の中の小悪魔が姿を現し始めたよ。
すると航平があたしに耳打ちを。
「こうやっていじっているのは、菜生に心を許してる証拠です。旅行からさらに昇格しましたね」
「あ、あざっす」
琉依、心を許した人にはちょっと意地悪なんだ。
そして航平、昇格って……なんかすごく上からじゃん。
ま、素直に嬉しいんだけどね。