君への想いを、言ノ葉に乗せて。

席について、周りを見回してみる。

近くの席同士で話してる人。
数人で集まってふざけてる人。
中には自分と同じように一人で席に座っている人もいる。

誰かには話しかけると目標を設定したのはいいけど、タイミングもわからなければ誰に話しかけるべきかもわからない。
なんて話しかければいいんだろう。
相手はちゃんと反応してくれるだろうか。
私は、上手く笑えるんだろうか。

時計を確認する。
予定通りならあと5分でホームルームが始まる。
その後はすぐに入学式だ。
ホールへ移動する時は誰かと話せるだろうか。
そこで話せないと、今日はもう話すチャンスは無くなってしまうような気がする。

移動の時、必ず誰かに話しかけよう。
話しかけなきゃダメ。
絶対に話しかける。

自分に言い聞かせていると、ドアがガラッと音を立てて開き、背の高い男の先生が一人教室に入ってきた。


「今日からお前たちの担任になる増岡だ。担任は3年間変わらないから、みんな仲良くやろう。よろしくな!」

増岡先生は太陽みたいに眩しい笑顔でそう言って、クラスのみんなからもチラホラと「よろしくお願いします」という声が聞こえてくる。


そうして、最初のホームルームが始まった。

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