すれ違う未来
私の表情が曇ったのが分かったのか渚は、
「三都? どうしたの?」
と訊いてきた。
「・・・ううん、なんでもない」
「本当は後悔してるんじゃないの?」
「後悔か・・・そうだね。 きちんと私の思ってること伝えて別れれば良かったかな?って後悔してる」
最後に、彼への不信感をぶちまけてしまえば良かった。
常に他の女性の気配を感じてきたこと、決定的な証拠が無かったからずっと我慢してきたこと。
・・・そんな後悔が無いとは言えない。
プロポーズだって、本当に私にするつもりだったのだとしたら、他の女性はどうするつもりだったのか・・・とか。

たくさんの後悔を抱えている。
だけど、彼と会いたいとは思えなかった。
彼の事が好きなままの私では彼には会えない。
会った後、部屋に帰って一人でまた泣いてしまうのが目に見えている。
・・・そんなのは惨め過ぎる。
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