[完]全力恋奏~音に乗せて~

伝えたくても


あの日からまた学校へ行けない日が続いた

今日はあいにくの雨……

全国大会へは、残念ながら出場できない…私の代わりに、フルートパートの先輩がやってくれるらしい……

吹きたかった……

けれど…私のせいで申しわけないなぁ……


なんというか、たくさんの人に迷惑を掛けているなぁ


コン、コン_________

看護師さんにしては、少し遠慮がちなノック

お母さんは来るはずがないから……

誰……?

「はい」

疑問に感じながら返事をすると、曖昧な返事になるな……


ガラッ_______________



入ってきた人に驚愕した

だって……

どうして……ここにいるの……?


「しずく」

「に、いむら……く……」

誰にも言わないでと言っていた

誰も来るはずがなかった…だから、安心していた

「なんで……」

「ごめん……けど、どうしても2人で話したくて」

「だって…誰にも……」

「うん、誰も教えてくれなかった。だから、優生先輩にどこの病院にいるのか聞いた。だって、同じ病院に入院してるはずだから」

「……ごめん、なさい…何も話せない」

そう、私が新村くんに話せることは何も無い

何も……


「俺はあるよ?」

「……」

少し近づいたところで、止まった

驚いて顔を見ると、新村くんは苦しそうな顔をして微笑んでいた

「男が……怖いことも……聞いた」

まさか……あのことも聞いて……!?


「あの時……助けきれてなかったんだな…俺の自己満でしか無かったんだ」

そう、前に朝、同じ人に絡まれた時、助けてくれたのは、新村くんだった。

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