一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
今まではお父さんも気にせず一緒に時間を共にしていたというのに、あの日を境に最初は食後、すぐ自分の部屋へ行ってしまったり、最近では南さんが来るとすぐ出かけていってしまう。


普通、自分の娘が他の男とイチャイチャしていたら、怒るところじゃないの? 邪魔しちゃうものじゃないの?

それなのにお父さんってば、自分が邪魔者だと言ってそそくさと逃げていく。


「部屋で新聞読んでいるから、ご飯出来たら教えてくれ」

「あ、お父さんちょっと待って!」

濡れた手をエプロンで軽く拭いて、部屋へ行こうとするお父さんを引き留めた。


「あのさ、この機会だから言うけど、あまり変に気遣わないで。……お父さんがいなくなっちゃうと、色々と気まずいからさ」


お父さんは気を利かしているのかもしれないけれど、あの日から一度も南さんとそういった雰囲気になったことはない。

私がそういった雰囲気にさせていないせいも、あるのかもしれないけど。

「だから南さんが来ても、今まで通り家に居てよ」

「いや、しかし……だってお前と颯馬さんは、その……付き合っているんだろ?」

「えっ!?」
< 124 / 334 >

この作品をシェア

pagetop